
この優先ボタン、結局何のためにあるの?

入浴中に他の場所から温度を変えられないようにする安全装置です。
給湯器のリモコンに付いている「優先」ボタン。普段何気なく見ているけれど、その役割や使い方を正しく理解している方は意外と少ないかもしれません。「これを押さないとお湯が出ないの?」「なぜ浴室リモコンにだけ付いているの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、給湯器の優先ボタンの基本的な仕組みから、安全面での重要性、正しい使い方まで分かりやすく解説します。
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給湯器の優先ボタンとは?給湯温度を変える「権利」の切り替え機能
給湯器の優先ボタンは、複数のリモコンがある環境で、どのリモコンが給湯温度を変更できるかを切り替える機能です。台所と浴室の両方にリモコンがある家庭では、この優先ボタンが重要な役割を果たします。
給湯温度を変更できる権利のことを「優先権」と呼び、優先表示があるリモコンのみが給湯温度を変更可能です(https://www.purpose.co.jp/download/home/manual/6j9020-2.pdf)。つまり、優先ボタンを押すことで、浴室リモコンが操作の主導権を持つ状態になるのです。
重要なポイントとして、優先ボタンが付いているのは浴室リモコンだけです。台所リモコンには優先ボタンがありませんが、電源ボタンをいったん切って再び入れることで、台所側を優先にすることも可能です。
この機能は業界規格としても定められています。JIS C 9220:2018「家庭用ヒートポンプ給湯機」では、浴室リモコンには「湯温選択の優先機能」を設けることが規定されており、設定湯温に寄与していない他のリモコンにも設定湯温が表示されることが条件として定められています(https://www.cbl.or.jp/blsys/bsnintei/file/egh05-2.pdf)。
優先ボタンを押さないとお湯は出ないの?答えは「NO」
ここが最も気になるポイントでしょう。結論から言うと、優先ボタンを押さなくてもお湯は問題なく出ます。
優先ボタンは、あくまで「給湯温度を変更する権利」を切り替えるものであり、お湯の出る・出ないには一切関係ありません。優先権がないリモコンでも、現在設定されている温度のお湯は通常通り使用できます。
ただし、優先権がないリモコンでは給湯温度の変更ができないという制限があります(https://faq.noritz.co.jp)。これは重要なポイントです。台所・浴室・洗面所など、同じ給湯器から供給されているすべての給湯栓からは、常に同じ温度のお湯が出る仕組みになっているため、どこか一箇所で温度を変更すると、他の場所でも同じ温度のお湯が出ます(https://www.purpose.co.jp/download/home/manual/0ye025.pdf)。
なぜ給湯器に優先ボタンが必要?入浴中の火傷事故を防ぐ安全装置
給湯器の優先ボタンは、単なる便利機能ではありません。入浴中の火傷事故を防ぐための重要な安全装置として機能しています。
想像してみてください。浴室でシャワーを使っている最中に、家族が台所のリモコンで給湯温度を高く変更したら、急に熱いお湯が出て火傷をする危険があります。入浴中に他のリモコンから給湯温度を変更されてしまうと、火傷の恐れがあるため、この優先機能が備わっているのです。
国立研究開発法人製品評価技術基盤機構(NITE)では、給湯器による事故事例として、温度設定ボタンの誤操作による高温出湯事故が報告されています(https://www.noritz.co.jp/info/group/jiko/2021/0203.html)。実際の事故例として、棚に置かれた加湿器が給湯器のリモコン温度設定ボタンに接触し、振動等によりボタンが押されて設定温度が変更され、高温のお湯が出た事例もあります。
また、パロマ株式会社の事故情報では、リモコンで42℃に設定していたにもかかわらず、設定以上の温度のお湯が出て手に火傷をした事例も報告されています(https://www.paloma.co.jp/important/claim/2007/0705c.html)。
特に小さな子どもは体温の調節能力が十分に発達していないため、高齢者は暑さや水分不足に対する感覚機能が低下しているため、これらの事故リスクは深刻です。
このような事故を防ぐため、浴室でお湯を使用するときは必ず浴室優先にする必要があり、台所優先のまま浴室でお湯を使用すると、台所で給湯温度を高く設定されたときに火傷等の事故につながる恐れがあります。
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給湯器の優先ボタンの正しい使い方
優先ボタンの使い方は簡単です。多くの給湯器では、電源をオンにしたリモコンが自動的に「優先」になります。
日常的な使い分けのコツ
効率的な使い方として、普段は台所リモコンを優先にして、入浴のときだけ浴室リモコンの優先ボタンを押すという方法が推奨されています(https://www.toshiba-carrier.co.jp/products/small/eco/support/pdf/howtouse_f376h–btn.pdf)。これにより、お湯を使う場所で自由に温度を変更できて便利です。
また、給湯器は2種類の温度を記憶できる機種が多いため、優先ボタンを活用した使い分けも可能です。
例えば…
- 台所リモコン:40℃前後に設定(食器洗いや手洗い用)
- 浴室リモコン:50℃前後に設定(サーモスタット水栓で推奨される温度)
入浴時に浴室を「優先」にするだけで、高温のお湯が使えるようになります。
安全に使用するための注意点
- シャワー使用時は、必ず「優先」が点灯していることを確認してください
- 給湯温度を変更するときは、他の場所でお湯を使用していないことを確認することも大切です
主要メーカー別の優先ボタン仕様
給湯器の優先ボタンは、メーカーによって若干の仕様差がありますが、基本的な機能は同じです。
メーカー | 優先ボタンの特徴 | 参考情報 |
---|---|---|
ノーリツ | 浴室リモコンの優先ボタンで主導権の切り替えが可能 | https://faq.noritz.co.jp/ |
リンナイ | 優先機能は浴室リモコンに付いている | https://faq.rinnai.co.jp/faq/show/1169 |
パロマ | 優先ボタンを押すと、浴室リモコンで設定された給湯温度が優先される | https://www.corona.co.jp/support/faq/2293.html |
各メーカーとも、入浴中の安全を確保するために優先機能を搭載しており、基本的な操作方法は共通しています。
まとめ:給湯器の優先ボタンは家族の安全を守る大切な機能
給湯器の優先ボタンは、押さなくてもお湯は出ますが、入浴中の火傷事故を防ぐための重要な安全機能です。複数のリモコンがある家庭では、入浴時に浴室リモコンを優先にすることで、家族が誤って温度を変更してしまう事故を防げます。
特に小さなお子さんや高齢者がいる家庭では、この機能を正しく理解し活用することが大切です。シャワー使用中は必ず優先が点灯していることを確認し、安全で快適な入浴時間を過ごしましょう。
日々の暮らしの中で、給湯器の優先ボタンの仕組みをぜひ覚えておき、家族全員の安全を守るために活用してください。
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