
隣の家まで50cmもない…給湯器、どこに置けばいいの?

排気カバーとスリム型なら、意外と置けますよ。
都心部や住宅密集地の狭小住宅で給湯器の交換や新規設置を検討する際、「設置場所がない」という深刻な悩みに直面する方は少なくありません。隣家との距離がわずか数十センチしかない、業者から「この場所には置けない」「消防法的にNG」と言われてしまった――そんな八方塞がりの状況で浮上するのが室内設置型給湯器という選択肢です。
でも本当に室内に給湯器を置いても安全なのでしょうか?一酸化炭素中毒の危険は?工事費用は高くないの?
この記事では、狭小住宅で給湯器の設置場所に困っている方に向けて、室内設置型の現実から、意外と知られていない屋外設置の対策まで、具体的な解決策をご紹介します。
24時間 365日 対応
\ 小さな不安もお気軽に /
室内設置型給湯器は今でも現実的な選択肢なのか?
結論から言えば、室内設置型給湯器は今でも選択肢として存在します。ただし、屋外設置型に比べると製品の種類は限られており、主流とは言えない状況です。
一般的に、室内設置型には「FF式」と「FE式」という2つのタイプがあり、それぞれ仕組みと安全性が大きく異なります。狭小住宅で給湯器の設置場所がないからといって安易に室内設置を選ぶ前に、まずはそれぞれの特徴を正しく理解しておきましょう。
FF式とFE式って何が違う?安全性で選ぶならどっち
室内設置型給湯器には、燃焼の仕組みによってFF式(強制給排気式)とFE式(強制排気式)の2タイプが存在します。
FF式は外の空気を取り込んで外へ排気する密閉型の給湯器です。室内の空気を一切使わないため、メーカーによると現在の主流はこのFF式となっています。壁に給排気筒(煙突のようなもの)を通す穴を開ける「コア抜き」という工事が必要ですが、一酸化炭素中毒のリスクが極めて低く、安全性が高い点が最大の特徴です。
一方、FE式は室内の空気で燃焼し、排気のみを外に出す仕組みです。換気が不十分だと不完全燃焼を起こし、一酸化炭素中毒のリスクがあるため、現在では推奨されない傾向にあります。既存のFE式からの交換時など、限定的なケースでのみ採用されているのが実情です。
室内設置に踏み切る前に知っておきたい3つのデメリット
室内設置型給湯器を検討する際は、次のようなデメリットをしっかり理解しておく必要があります。
まず工事の手間とコストが大きいという点です。屋外から屋内への変更は、配管ルートの全面的な変更や壁の穴あけ工事が必要となり、一般的に十数万円以上、場合によっては20万円を超える費用がかかります。
次に、製品ラインナップの少なさも見逃せません。屋外設置型に比べて選べる機種が極端に少なく、高効率の「エコジョーズ」など高機能モデルが選べないケースがあります。
さらに、貴重な居住スペースを圧迫するというデメリットもあります。洗面所やキッチンなど、限られた室内空間の一部を給湯器の設置に充てる必要があるため、狭小住宅ではより空間の窮屈さを感じることになるでしょう。
最短 30分以内 に
\ 専門スタッフがご案内 /
実は本命?屋外設置で狭いスペースを攻略する対策
狭小住宅で給湯器の設置場所がないと感じても、屋外設置をあきらめる必要はありません。実は、狭いスペースでも設置できる工夫がいくつか存在します。
排気カバーで隣家との距離問題をクリアする
最も有効な対策が排気カバーの活用です。隣家やブロック塀が目の前にある場合は「上方排気カバー」で排気を真上に逃がし、窓が近い場合は「側方排気カバー」で左右に排気を逃がすことで、離隔距離の基準をクリアできる可能性があります。
ただし注意点として、排気カバーを装着すると機器の奥行きが数センチ増すため、ギリギリの隙間では逆効果になることもあります。
スリム型給湯器と高所設置という選択肢
幅25cm程度のスリム型給湯器を選ぶことで、狭い隙間にも設置可能になります。また、壁掛け位置を通常より高くする「高所設置」という方法もあります。通行の邪魔にならない高さに設置できますが、将来のメンテナンス時に足場が必要になる点は考慮すべきでしょう。
| 対策方法 | どんな時に有効か | 注意すべきこと |
|---|---|---|
| 側方排気カバー | 窓が近くにある | 左右にスペースが必要 |
| スリム型給湯器 | 幅25cm程度の狭い隙間しかない | 製品の選択肢が限られる |
| 高所設置 | 地上の通行スペースを確保したい | メンテナンス時に足場が必要 |
絶対に守らないと危険!離隔距離のルール
給湯器の設置において、最も重要なのが消防法や条例で定められた離隔距離の基準です。これを守らないと、火災リスクが高まるだけでなく、違法設置としてガス会社から供給を断られるケースもあります。
一般的な離隔距離の基準は以下の通りです。
- 前方:600mm以上(点検作業に必要なスペース含む)
- 上方:排気口から300mm以上
- 側方:150mm以上(機種によっては緩和できる場合もあり)
メーカーの工事説明書や自治体の条例によって細かい数値は異なりますが、燃えやすいものや窓からの距離は必ず守る必要があります。
離隔距離を無視した設置は、排気を吸い込んで不完全燃焼を繰り返したり(これを専門用語で「ショートサーキット」と呼びます)、機器が早期に故障したり、隣家の壁が変色・腐食したり、最悪の場合は火災の原因となります。
また、万が一事故が発生した場合、施工業者だけでなく施主(家の持ち主)の責任が問われる可能性や、火災保険が適用されないリスクもあるのです。
まとめ|狭小住宅でも給湯器設置の道はある
狭小住宅で給湯器の設置場所がないという悩みは、室内設置型を検討する前に、まず屋外設置での対策から考えることを強くお勧めします。排気カバーやスリム型給湯器の活用で、意外と解決できるケースが多いためです。
どうしても屋外に設置スペースが確保できない場合は、FF式(強制給排気式)の室内設置型が選択肢となりますが、工事費用の高さや製品選択の制限を十分に理解した上で決定しましょう。
最も重要なのは、離隔距離などの法的基準を必ず守ることです。費用を抑えたいからといって基準を無視した設置は、取り返しのつかない事故につながる可能性があります。安全性とコストのバランスを考えながら、必ず資格を持った施工業者に相談し、あなたの住まいに最適な方法を選んでください。
累計100万戸の実績
\ 安心の10年保証 /



