
もう1週間も大家が動いてくれない…自分で業者呼んじゃダメ?

法律上は可能ですが、無断で修理すると費用を払ってもらえないリスクがあります。
賃貸物件で給湯器が壊れたのに、大家さんや管理会社がなかなか対応してくれない。特に冬場にお湯が使えない状況は死活問題です。「もう待てない、自分で業者を呼んで勝手に直してしまおうか」と考える方も少なくないでしょう。
結論から言えば、法律上は一定の条件を満たせば勝手に直すことは可能ですが、大きなリスクを伴います。この記事では、給湯器が壊れて大家が交換してくれない場合に、どう対処すべきかを法的根拠とともに解説します。
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そもそも給湯器の修理は大家の義務|放置は違法
給湯器が壊れた場合、修理や交換は本来、大家の義務です。民法第606条第1項では「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と明確に規定されています。
給湯器は設備付き賃貸物件の一部であり、大家の所有物です。経年劣化や普通に使っていて壊れた場合は、貸主である大家が費用を負担するのが原則です。これは国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも明記されています。
つまり、給湯器が壊れて大家が交換してくれないのは、法律違反の可能性があるのです。
勝手に給湯器を直していい条件は?2つのケースで可能
では、借主が勝手に給湯器を直すことは法的に認められているのでしょうか。
2020年4月施行の改正民法第607条の2により、借主による修繕権限が法律で認められました。以下の2つの条件のどちらかに当てはまれば、勝手に直すことが可能です。
【条件1】大家に連絡したのに修繕してくれない場合
給湯器の故障を大家や管理会社に伝えたにもかかわらず、相当な期間が経っても対応してくれない場合です。「相当な期間」とは状況により異なりますが、冬場なら数日から1週間程度と考えられます。
【条件2】急いで直さないと危険な場合
お湯が出ない状態が続き、生活に重大な支障が生じる場合です。特に冬場は凍結や健康被害のリスクがあるため、急迫の事情として認められる可能性が高いでしょう。
ただし、原則として事前に大家への連絡が必要です。緊急時でも、可能な限り連絡を取った記録を残しておくことが重要です。
状況 | 勝手に修理できるか | 注意点 |
---|---|---|
大家に連絡済み+1週間以上放置 | ○ 可能 | 連絡記録を保管すること |
冬場で急を要する+連絡がつかない | ○ 可能 | 連絡を試みた証拠が必要 |
大家に連絡せず修理 | △ リスク大 | 費用を請求できない恐れ |
自分の過失で故障 | × 不可 | 借主の負担となる |
勝手に給湯器を直すと待ち受ける3つの大きなリスク
法律上は修繕できるとはいえ、勝手に給湯器を交換すると深刻なリスクがあります。
まず、修理費用を回収できない可能性があります。大家への事前連絡なしで業者を呼んだ場合や、管理会社の指定業者以外に依頼した場合、費用負担を拒否されるケースが実際に発生しています。民法第608条では借主が支払った必要費の償還請求権が認められていますが、適法な修繕であることを証明できなければ請求は通りません。
次に、自分で修理することは違法行為です。給湯器の工事には液化石油ガス設備士やガス可とう管接続工事監督者などの国家資格が必要です。液化石油ガス法では無資格でのガス給湯器工事に50万円以下の罰金、電気工事士法では無資格の電気工事に30万円以下の罰金または1年以下の懲役が定められています。知識のない方が触ると、ガス漏れや火災などの重大事故につながる危険性もあります。
さらに、メーカー保証が無効になるリスクもあります。無資格者による工事を行うと、メーカー保証や延長保証が適用されなくなります。火災保険や工事保険も適用外となるため、万が一の事故時に補償が受けられません。
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大家が給湯器を交換してくれない時の賢い対処法3ステップ
では、給湯器が壊れて大家が交換してくれない場合、どのように対処すべきでしょうか。
【ステップ1】内容証明郵便で正式に要求する
まず、内容証明郵便で修繕要求を送りましょう。口頭や普通のメールでは「言った・言わない」のトラブルになりがちですが、内容証明郵便なら確実な証拠として残ります。修繕要求には、故障の状況、修繕を求める理由、具体的な対応期限(例:1週間以内)を明記します。
【ステップ2】賃料の減額を主張する
2020年の民法改正により、民法第611条で賃料の当然減額制度が導入されました(https://www.mlit.go.jp/common/001230068.pdf)。これは使用できない部分に応じて賃料が自動的に減額される制度で、借主から請求しなくても当然に減額が認められます。給湯器が壊れて風呂が使えない場合、賃料の10%程度の減額が目安とされています。減額分を差し引いた賃料を支払うことができます。
【ステップ3】専門機関に相談する
それでも大家が対応しない場合は、国民生活センター(消費者ホットライン188)、都道府県宅建協会の不動産無料相談所、一般財団法人不動産適正取引推進機構などの専門機関に相談しましょう。これらの機関では無料で専門家のアドバイスを受けられます。
まとめ:給湯器が壊れたら勝手に直すよりも正攻法で
給湯器が壊れて大家が交換してくれない場合、法律上は一定条件下で勝手に直すことは可能です。しかし、費用回収できないリスク、無資格工事の違法性、保証無効化など、デメリットが非常に大きいのが実情です。
まずは内容証明郵便での修繕要求、賃料減額の主張、専門機関への相談という正攻法で対処しましょう。給湯器の修理は本来、大家の法的義務です。適切な手順を踏むことで、確実に問題を解決できます。焦って勝手に直すのではなく、冷静に法律に基づいた対応を取ることが、結果的に最も早く、安全に解決する近道です。
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