マンションやアパートの高層階に住んでいると、「シャワーの勢いが弱い」「お湯が出るまで時間がかかる」といった経験をしたことはありませんか?これらの現象は、高層階における給湯器の水圧低下が原因かもしれません。
この記事では、高層階で給湯器の水圧が弱くなる理由と対処法について解説します。
高層階で水圧が弱くなるのはなぜ?マンションの給水方式が関係している
マンションの給水方式によって、高層階の水圧事情は大きく変わります。一般的なマンションでは、主に「高置水槽方式(重力給水方式)」「ポンプ直送方式」「圧力タンク方式」「直結給水方式」などの給水方式が採用されています。
特に古いマンションに多い高置水槽方式では、一度受水槽に水を貯め、そこから揚水ポンプで屋上の高置水槽に水を上げ、重力を利用して各階に給水する仕組みになっています。この方式では、高置水槽に最も近い最上階ほど水圧が低くなりやすいという特徴があります。
重力を利用して水を送るため、低層階では十分な水圧が得られますが、高層階では水圧が高くなる前の段階で水が送られてくるため、水圧が弱まることがあるのです。このため、高層階ではシャワーの水圧が弱く感じられることが多いのです。
給湯器は水圧不足で正常に作動しなくなることもある
給湯器には適切に作動するための最低限必要な水圧があります。一般的なガス給湯器の場合、標準的な仕様として給水口入口圧力は149 kPa~490 kPaが必要とされています。
もし水圧が100 kPa近く(毎分洗面器1杯程度)まで低下すると、給湯器が正常に動作しないこともあります。これは給湯器の故障ではなく、水圧不足が原因です。高層階で水圧が弱い場合、ガス給湯器の点火不良が起こる可能性もあります。
業務用給湯器の場合は、標準給水圧力として200kPa程度が推奨されており、給湯器の能力を十分に発揮するためには、給水圧力は200kPa以上が望ましいとされています。水圧が不足すると、お湯の温度が安定しなかったり、お湯が出るまでに時間がかかったりすることがあります。
エコキュートと従来型給湯器では水圧に違いがあるの?
給湯器の種類によっても、水圧に違いがあります。エコキュートとガス給湯器を比較すると、水圧面で大きな違いがあることがわかります。
エコキュートは標準的なタイプで約170~190kPaの水圧であるのに対し、ガス給湯器は約500kPaと水圧に大きな差があります。これは給湯方式の違いによるもので、ガス給湯器は「水道直圧式」を採用していることが多いのに対し、エコキュートは「貯湯式」を採用していることが多いためです。
貯湯タンクにお湯を貯める際は減圧されるため、結果として水圧が弱くなる傾向があります。ただし、高圧給湯タイプのエコキュートでは280~320 kPaの高い水圧を持つものもあり、選択肢は広がっています。水道直圧式のエコキュートを選べば、最大500kPaほどの水圧を確保できる場合もあります。
高層階の水圧不足はどうすれば解決できる?
高層階での水圧不足に悩まされている場合、いくつかの効果的な対処法があります。
まず簡単にできるのは止水栓の確認と調整です。止水栓が閉まりすぎていないか確認し、必要に応じて開けることで水圧が改善することがあります。また、シャワーヘッドやフィルターの清掃も効果的です。目詰まりを取り除くことで水の流れが良くなり、体感的な水圧が上がることがあります。
より根本的な解決策としては、低水圧用シャワーヘッドの活用があります。これは水圧が弱くても十分な使用感が得られるよう設計されたシャワーヘッドで、高層階の水圧問題を緩和してくれます。新しく給湯器を設置する機会があれば、高圧給湯タイプの給湯器を選択することも有効です。特に高層階に住んでいる場合は、この点を意識して選ぶと良いでしょう。
もし水圧不足が一時的なものであれば、5~10分待つと圧力が戻る場合もあります。それでも改善されない場合は、マンション全体の給水方式を見直すことも検討されますが、これは個人ではなく管理組合などで検討すべき事項です。
まとめ:高層階の給湯器水圧問題は適切な対策で解決できる
高層階では確かに給湯器の水圧が弱くなる可能性がありますが、その原因は主に建物の給水方式にあります。特に高置水槽方式のマンションでは最上階に近いほど水圧が弱まりやすく、給湯器の正常な作動に必要な水圧を下回ることもあります。
エコキュートとガス給湯器では水圧に差があり、標準的なエコキュートはガス給湯器に比べて水圧が弱い傾向にあります。しかし、高圧給湯タイプのエコキュートや水道直圧式のタイプを選ぶことで、この問題を軽減できます。
水圧不足を感じたら、止水栓の調整やシャワーヘッドの清掃など、まずは自分でできる対策から試してみるとよいでしょう。給湯器を新調する際は、高圧給湯タイプを選ぶことも効果的です。こうした対策で、高層階でも十分な水圧を確保し、快適な給湯環境を実現することができます。

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