
引っ越し先がプロパン…今の給湯器、そのまま使えないかな?

絶対に使えません。発熱量が2.2倍違うので一酸化炭素中毒や爆発の危険があります。
引っ越しや住み替えで都市ガスからプロパンガスへ切り替わることになり、「今使っている給湯器はそのまま使えるのだろうか」と不安に感じていませんか。
結論から言うと、都市ガス用の給湯器をプロパンガスでそのまま使用することは絶対にできません。必ず交換または部品交換の対応が必要です。
本記事では、なぜ都市ガスからプロパンに変わると給湯器の交換が必要なのか、そのまま使った場合の危険性、そして具体的な対応方法と費用について、公的機関のデータをもとに詳しく解説します。
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そのまま使えない理由|都市ガスとプロパンは全く別物
「見た目は同じガスなのに、なぜ給湯器を使い回せないの?」と疑問に思うかもしれません。実は、都市ガスとプロパンガスは性質が根本的に異なるのです。
一般財団法人日本ガス機器検査協会の公式サイトでは、「ガスの性質が違うため、LPガスと都市ガスのガス機器には互換性がありません」と明確に述べています。
最大の違いは発熱量です。東京ガスの公式サイトによると、都市ガス(13A)の発熱量は45MJ/㎥に対し、プロパンガスは99.1MJ/㎥。つまり、プロパンガスは都市ガスの約2.2倍もの発熱量があります。
これは調理に例えると、弱火で使う前提の給湯器に、いきなり強火を当て続けるようなものです。都市ガス用の給湯器にプロパンガスを供給すると、想定の2倍以上のエネルギーが流れ込み、機器が正常に作動できません。
さらに、ガスの比重も大きく異なります。都市ガスは空気より軽いため天井付近に溜まりますが、プロパンガスは空気の約1.55倍重く、床や地面に溜まる性質があります。燃焼に必要な空気量も、都市ガスが9.52㎥/㎥に対し、プロパンガスは23.8㎥/㎥と約2.5倍も違います。
このような根本的な違いから、都市ガス用給湯器とプロパンガス用給湯器に互換性は一切ありません。
命に関わる危険性|そのまま使うと何が起こるのか
「少しの間だけなら大丈夫では?」という考えは非常に危険です。リンナイ公式FAQでは、「ガスの種類が異なる場合、使用できません。不完全燃焼により一酸化炭素中毒になったり、爆発着火でやけどをしたり、機器が故障する場合があります」と明確に警告しています。
具体的には以下のような深刻な危険があります。
不完全燃焼による一酸化炭素中毒:発熱量の違いにより適切な燃焼ができず、有毒な一酸化炭素が発生します。一酸化炭素は無色無臭のため気づきにくく、最悪の場合、死に至ります。実際、15年超の給湯器による一酸化炭素中毒事故は年間約25件発生しており、そのうち約15%が死亡事故となっています。
爆発・火災のリスク:想定外のガス量により着火時に爆発する可能性があります。令和4年のLPガス事故は中部近畿産業保安監督部管内だけで34件報告されています(https://www.safety-chubu.meti.go.jp/sangyou/lpgas/)。
法律違反となる:経済産業省のガス事業法では、ガス種に適合しない機器の使用は技術基準違反です(https://biz.fujioh.com/product/tech/law_5.html)。液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律では、無資格工事を行った場合、3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。
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給湯器交換の2つの方法|あなたに合った選択肢は?
都市ガスからプロパンガスに変更する際、給湯器の対応方法は大きく分けて2つあります。
【方法1】部品交換で対応する
給湯器本体はそのままで、ガスノズル、前管、ガスメカ、ダンパー、抵抗基板などの内部部品を交換する方法です。さらに、ガス種切り替えスイッチの操作、燃焼送風機の風量調整、ガバナ調整、二次圧調整などの専門的な作業が必要になります。
費用相場:約3~4万円
【方法2】給湯器本体を新品に交換する
給湯器全体を新しいプロパンガス用に買い替える方法です。
費用相場
- 給湯専用16号:約8.2万円~
- 追い焚き付き16号:約14.1万円~
- 給湯暖房熱源機16号:約24.2万円~
どちらを選ぶべき?判断基準を明確に
東京ガスの公式コラムによると、給湯器の経年劣化による事故発生率は以下の通りです。
- 10年以内:1%未満
- 15~20年:15.7%
- 30年超:39.8%
この統計から、使用年数10年未満なら部品交換、10年以上なら新品購入が推奨されます。また、部品交換費用が本体価格の30%を超える場合も、長期的な安全性を考えると新品購入の方が経済的です。
対応方法 | 費用相場 | 推奨する給湯器の使用年数 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|---|
部品交換 | 約3~4万円 | 10年未満 | 初期費用を抑えられる | 古い給湯器では部品供給がない場合も |
新品購入 | 約8.2万~25万円 | 10年以上 | 安全性が高く長期使用可能 | 初期費用は高め |
必ず給湯器専門業者に依頼を|資格がないと違法です
「部品交換なら自分でもできそう」と考えるのは危険です。日本ガス石油機器工業会の公式資料では、「ガス機器の設置の際、ガス接続には資格が必要です!」と明記されています。
プロパンガス機器の設置・交換には、液化石油ガス設備士という経済産業省認定の国家資格が必須です(https://www.khk.or.jp/lp_gas_company/qualification.html)。この資格保有者は初回3年以内、2回目以降5年以内の再講習義務があり、常に最新の安全基準を学んでいます。
都市ガス機器の場合は、ガス可とう管接続工事監督者またはガス機器設置スペシャリストの資格が必要です。
無資格での工事は法律違反となり、前述の通り懲役刑や罰金刑が科せられる可能性があります。何より、命に関わる事故につながる危険性があるため、必ず有資格の専門業者に依頼してください。

まとめ|都市ガスからプロパンへ変更時の給湯器対応は必須
都市ガスからプロパンガスに変わった場合、給湯器をそのまま使うことは絶対にできません。発熱量が約2.2倍も違うため、不完全燃焼による一酸化炭素中毒、爆発、火災などの深刻な事故を招く危険性があります。
対応方法は部品交換(約3~4万円)または新品購入(約8.2万~25万円)の2択です。給湯器の使用年数が10年未満なら部品交換、10年以上なら安全性を考慮して新品購入を検討しましょう。
どちらの方法を選ぶ場合も、必ず液化石油ガス設備士などの国家資格を持つ専門業者に依頼してください。費用を惜しんで自己判断や無資格者への依頼をすると、法律違反になるだけでなく、あなたやご家族の命を危険にさらすことになります。
引っ越しや住み替えで都市ガスからプロパンガスへの切り替えが決まったら、まずは契約するガス会社や給湯器メーカーのサポート窓口に連絡し、現在の給湯器の状態を伝えて適切な対応方法を確認することをおすすめします。
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