給湯器の音、夜だけうるさいんだけど…昼間と音の大きさって変わるもの？
はい、変わります。エコキュートは夜間に本格稼働するため、実際に夜の方が音が大きくなります。
給湯器の音が夜になると急にうるさく感じられて気になったことはありませんか？
昼間は全く気にならないのに、夜になると「ブーン」という低い音が耳について眠れない――そんな悩みを抱えている方は少なくありません。実は、給湯器の音が夜だけうるさく感じる現象には、明確な理由があります。
本記事では、夜間に給湯器の音が際立つ原因と、昼間と夜で実際に音の大きさが変わるケースについて、公的機関のデータをもとに解説します。
- 太田 雄冴
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夜だけうるさく感じる最大の理由は「周囲の静けさ」
給湯器の音が夜だけうるさく感じる最も大きな理由は、周囲の環境音が極端に少なくなるためです。
昼間は交通音、人の話し声、テレビの音、家電の動作音など、さまざまな生活音が常に発生しています。これらの環境音に紛れて、給湯器の運転音はほとんど気にならない状態です。しかし夜間、特に深夜になると周囲が静まり返り、昼間は気づかなかった給湯器の音が際立って聞こえるようになります。
環境省の資料では、省エネ型温水器等の運転音は騒音レベル自体は小さいものの、夜間など周辺が静かな環境では運転音が聞き取りやすくなると指摘されています。つまり、給湯器自体の音は変わっていなくても、周囲が静かになることで相対的に大きく感じられるというわけです。
環境省が定める夜間の騒音環境基準は、住居地域で45デシベル以下とされており、一般的な給湯器の運転音（40～50dB程度）はこの基準値ギリギリか、やや超える場合もあります。
昼間と夜で実際に音の大きさが変わるケースも存在する
環境音の影響だけでなく、給湯器が実際に夜間により大きな音を出すケースも存在します。
特にエコキュートの場合、深夜電力を利用するため夜間（23時～翌朝7時頃）に最も活発に稼働する設計となっています。昼間はほとんど動作していないのに、夜になると本格的にヒートポンプが作動するため、物理的に夜の方が音が大きくなります。
さらに、冬季には凍結防止機能が作動します。ガス給湯器でも外気温が一定以下になると、夜間に自動的にポンプやヒーターが動作して配管内の凍結を防ぎます。この凍結防止運転により、予期しない時間帯に通常以上の運転音が発生することがあるのです。
昼間と夜の給湯器運転状況の違い
| 時間帯 | エコキュートの状態 | ガス給湯器の状態 | 音の大きさ |
|---|---|---|---|
| 昼間 | ほぼ待機状態 | 使用時のみ作動 | 比較的小さい |
| 夜間 | フル稼働（深夜電力使用） | 使用時＋凍結防止運転 | 昼間より大きい場合あり |
つまり、「夜だけうるさい」と感じる原因は、環境音の影響だけでなく、給湯器が実際に夜間により活発に、あるいは特殊な運転モードで動作している可能性もあるということです。
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低周波音が夜間に際立つメカニズムとは？
給湯器から発生する「ブーン」「ゴー」という低い音は、低周波音と呼ばれるものです。この低周波音には、夜間に特に目立ちやすい特性があります。
総務省の資料によると、低周波音は壁や床を通じて建物内に伝わりやすく、夜間の静かな環境ではより聞き取りやすくなる傾向があります。高い音は壁などで遮られやすいのですが、低周波音は物理的な障害物を透過しやすいという性質があるため、設置場所から離れた寝室でも音が感じられることがあります。
また、高気密高断熱住宅では外部の音が遮断される一方で、室内で発生した音が逃げ場を失い反響しやすくなります。防音性の高い住宅では、給湯器の低周波音が室内に滞留して増幅されて感じられる場合もあるのです。
個人差も大きく、同じ音でも人によって不快感の程度は異なります。加齢により高周波数域の聴力が低下する一方で、低周波数域への感受性が相対的に高まる場合もあり、ストレス状態や健康状態によっても音に対する過敏性が変化することがあります。
給湯器の音がうるさい場合に試すべき対策
給湯器の音が夜だけうるさく感じる場合、以下の対策が有効です。
メンテナンスによる騒音軽減が最も基本的な対策です。国民生活センターの統計によると、給湯器の騒音に関する消費生活相談が増加傾向にあり、特に家庭用ヒートポンプ給湯器（エコキュート）の運転音による苦情事例が報告されています。
具体的には以下の点を確認しましょう。
- フィルターの目詰まりや内部への異物混入により異音が発生する場合がある
- 配管接続部の緩みや隙間を修理することで騒音を効果的に低減できる
- 定期的な専門業者による点検と清掃により、部品劣化を防ぎ効率的な動作を促進できる
設置環境の改善も重要です。給湯器を寝室や隣家から5～10m以上離して設置することで騒音影響を軽減できます。音が反響する壁や障害物から適切な距離を保つことで反響音を抑制し、防音パネルや防振ゴムの活用により振動音の伝播を防止することも可能です。
給湯器業者への相談を検討すべき判断基準
給湯器の音が夜だけうるさいと感じても、すべてのケースで対策が必要なわけではありません。しかし、以下の状況に当てはまる場合は、専門業者への相談を検討すべきです。
環境省の夜間騒音基準（45dB以下）を明らかに超えている場合や、睡眠に支障が出ている場合は早めの対応が必要です。環境省の研究では、一定レベル以上の低周波音により浅い睡眠に影響が現れることが確認されています。
また、以前は気にならなかったのに急に音が大きくなった場合は、機器の不具合や部品の劣化が考えられます。異音の種類によっては、故障の前兆である可能性もあるため、早めの点検が推奨されます。
近隣住民からの苦情がある場合も、放置せず誠実に対応することが重要です。環境省の令和4年度騒音苦情統計によると、騒音苦情件数は20,436件（前年比3.7%増）に上り、生活騒音に関する苦情が全体の大きな割合を占めています。
まとめ：給湯器の音が夜だけうるさいのは環境と運転パターンの両方が原因
給湯器の音が夜だけうるさく感じる現象は、主に周囲の環境音が少なくなることで相対的に音が際立つことが原因です。昼間は他の騒音に紛れて気づかなかった音が、夜の静寂の中では明確に聞こえるようになります。
さらに、エコキュートのように深夜電力を利用する機種では実際に夜間の方が運転音が大きくなるケースもあります。冬季の凍結防止運転も、夜間に予期せぬ音を発生させる要因となります。給湯器の低周波音は壁を透過しやすく、高気密住宅では特に音が滞留しやすい特性があります。
もし音が気になる場合は、まず定期的なメンテナンスで異音の原因を取り除くこと、必要に応じて設置位置の見直しや防音対策を検討することが有効です。環境省の夜間騒音基準（45dB以下）を目安に、睡眠に支障が出ている場合や急に音が大きくなった場合は、専門業者に相談することをおすすめします。
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