お引越しやリフォーム、長期旅行などで長期間使用していなかった給湯器。「そのまま使っても大丈夫かな?」と不安になることはありませんか?
給湯器は日常生活に欠かせない設備ですが、長期間使用していないと、配管内部のサビや部品劣化など思わぬトラブルが発生する可能性があります。
この記事では、長期間使用していなかった給湯器を安全に再使用するためのチェックポイントや具体的手順を詳しく解説します。
もくじ
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「10年」の壁が迫る給湯器、サビと劣化のダブルリスク警報
給湯器には設計上の標準使用期間が10年と設定されていることをご存知でしょうか?ノーリツなどの主要メーカーでは、10年または相当する使用回数を超えると、リモコンに定期点検サイン「888」が表示される機能を導入しています。
10年を経過した給湯器でも使用可能な場合が多いですが、以下のような経年劣化によるトラブルリスクは年数とともに急速に高まります。
- 内部配管のサビや腐食 – 水漏れや水圧低下の原因に
- パッキンなどのゴム部品の劣化 – ガス漏れや水漏れの危険性
- 熱交換器の汚れの蓄積 – 効率低下や不完全燃焼の原因に
- 電気系統の劣化 – 誤作動や突然の停止につながる
特に注意すべきは、製造終了から10年が経過すると、修理用部品の保有期間が終了し、故障した際に修理ができなくなる点です。
再使用前に必ず確認!水抜き栓とストレーナー清掃の5ステップ
長期間(1ヶ月以上)使用していなかった給湯器を再び使用する前に、以下の5つのポイントを必ずチェックしましょう。
- 外観の徹底確認
給湯器本体にサビやカビ、水漏れの跡がないか隅々まで確認します。特に接続部分や底部の水滴や変色を見逃さないようにしましょう。 - ストレーナー清掃
水抜き栓についているフィルター(ストレーナー)の詰まりを確認し、歯ブラシなどで汚れを丁寧に取り除きます。長期間使用していないと、水中の不純物やスケールが詰まっている可能性が高いです。 - 排気口・吸気口の清掃
ほこりやゴミ、虫の巣などが詰まっていないか確認し除去します。これらが詰まっていると、不完全燃焼や一酸化炭素中毒の原因になり大変危険です。 - ガス接続部の漏れチェック
ガス給湯器の場合、ガス管との接続部分に緩みがないか確認します。石鹸水をつけて泡が出ないかチェックする方法が確実です。泡が出る場合は絶対に使用せず、ガス会社に連絡しましょう。 - 水圧確認テスト
給水元栓を開けて、適切な水圧がかかるか確認します。水圧が低すぎると、給湯器が着火せず、エラーコードが表示される原因になります。
ゆっくり確実に!給湯器再起動の6ステップ手順と失敗しないコツ
長期間使用していなかった給湯器を再起動する際は、以下の6ステップに従って慎重に行いましょう。
基本手順
- 給水元栓を開ける
まず給水元栓を4分の1ほどゆっくりと開けて水を供給します。急に全開にすると配管に負荷がかかるため注意しましょう。 - 空気抜きを行う
台所や浴室の蛇口を開けて配管内の空気を抜きます。この際、濁った水や茶色い水、サビなどが出ることがありますので、完全にきれいな水が出るまで流し続けましょう。 - 電源を入れる
給湯器の電源プラグをコンセントに差し込み、本体またはリモコンの電源スイッチをオンにします。電源が入ったらリモコンの表示を確認しましょう。 - ガスの元栓を開ける
ガス給湯器の場合、ガスの元栓をゆっくりと開けます。ガス臭がしないか注意深く確認してください。 - リモコン設定の確認
リモコンの温度設定や給湯設定が適切か確認します。最初は低めの温度(38度程度)に設定するのが安全です。 - 少量のお湯を試す
まずは少量のお湯を出して、温度や出方、色、匂いに問題がないか確認します。異常があれば直ちに使用を中止しましょう。
注意点
- エラーコード対応法 – リモコンに「88」「888」などのエラーコードが表示される場合は、取扱説明書を確認するか、メーカーサポートセンターに問い合わせましょう。リセット方法はメーカーによって異なります。
- 異音や異臭への即対応 – 作動中に「ボン」という爆発音や「キーン」という金属音、ガス臭などがする場合は、すぐに使用を中止し、ガスの元栓を閉めて専門業者に点検を依頼しましょう。
- 温度安定までの待機時間 – 再使用直後はお湯の温度が安定しないことがあります。これは温度センサーや配管内の空気が原因の可能性があります。5〜10分程度使用して様子を見ましょう。
危険サインを見逃すな!3秒でも感じたらすぐ使用中止の5大警告シグナル
給湯器を使用中に以下のような症状が少しでも見られた場合は、一刻も早く使用を中止し、専門業者に点検を依頼しましょう。
- ガス臭いにおい:わずかでもガス臭いと感じたら、ガス漏れの可能性があり、非常に危険です。窓を開けて換気し、ガスの元栓を閉め、火気は絶対に使用しないでください。
- 黒い煙や異常な排気:不完全燃焼を起こしている証拠で、一酸化炭素中毒の危険があります。すぐに電源を切り、窓を開けて換気してください。
- 異常な音(爆発音や金属音):「ボン」という爆発音や「キーン」という金属音は、内部部品の故障や異常燃焼の可能性があります。
- 水漏れの発生:給湯器本体やパイプからの水漏れは、配管の劣化や内部パーツの破損を示しています。小さな水漏れでも放置せず対応しましょう。
- 繰り返しエラー表示:リモコンに繰り返しエラーコードが表示される場合は、一時的なものではなく、本格的な故障の可能性が高いです。
給湯器には以下の安全装置が搭載されていますが、劣化により正常に機能しなくなっている可能性もあります。
- 不完全燃焼防止装置
- 過熱防止装置
- 立ち消え安全装置
- 空焚き安全装置
- 凍結防止装置
DIYは限界あり!即座に専門業者に点検依頼すべき5つの深刻状況
以下のような状況では、自己判断での再使用は絶対に避け、専門業者による点検を必ず依頼しましょう。
- 設置から10年超の給湯器の異常
10年以上経過した給湯器で異常が見られる場合は、部品全体の劣化が進んでいるため、専門家による総合点検が必須です。部分的な修理では根本解決にならないケースが多いです。 - 異常な音、臭い、煙の発生
爆発音、金属音、ガス臭、黒煙などの症状は、重大な故障や安全上の問題を示しています。これらの症状は一酸化炭素中毒やガス爆発などの重大事故につながる可能性があります。 - 目視できる水漏れ
給湯器本体や配管からの水漏れは、小さなものでも放置すると大きな故障や水害につながります。特に内部からの水漏れは電気系統に影響を与え、漏電や火災の原因になることもあります。 - リセット無効のエラー継続
電源オフ・オンの簡単なリセット操作で解決しない問題は、内部の重大な故障が考えられます。繰り返しエラーコードが表示される場合は、専門家の診断が必要です。 - 1年以上の長期未使用
特に水抜きをせずに1年以上放置していた場合は、内部の腐食やカビ、バクテリア繁殖が進行している可能性が非常に高くなります。健康上のリスクも考えられるため、専門家による内部洗浄が必要です。
タイプ別対応法!ガス・石油・電気、給湯器種類別の安全再使用ポイント
給湯器のタイプによって、再使用時の注意点と点検方法が大きく異なります。ご自宅の給湯器タイプを確認し、適切な対応を行いましょう。
ガス給湯器
- 重点確認項目: ガス接続部の漏れ、排気筒の詰まり、点火装置の動作
- 安全対策: 「あんしん点検」という形での専門点検が推奨(メーカーや販売店に相談)
- 再使用手順: ガス元栓→給水元栓→電源の順で開栓・投入
- 注意すべき異常: ガス臭、不完全燃焼(黄色い炎、黒い煙)、点火不良
石油給湯器・石油ふろがま
- 重点確認項目: 燃料タンクの汚れや水の混入、バーナー部分の清掃状態
- 安全対策: 法定点検が必要(標準使用期間10年経過時)
- 再使用手順: 燃料確認→給水→電源投入→燃焼状態確認
- 注意すべき異常: 黒煙、異常燃焼音、燃料漏れ、異臭
エコキュート・電気温水器
- 重点確認項目: 配管の保温材の劣化、電気系統の接続、水漏れ
- 安全対策: 法定点検は不要だが、3年に1回程度の定期点検を推奨
- 再使用手順: 給水→電源投入→沸き上げ設定確認
- 注意すべき異常: 異音、漏電、加熱不良、水漏れ
寿命延長の秘訣!毎日のちょっとした心がけで実現する給湯器長持ちメンテナンス術
給湯器を長く安全に使用するためのメンテナンスポイントを実践しましょう。
- 使用頻度の最適化
短時間(30秒以内)の使用は水を使用し、1日に何度も電源オン・オフを繰り返さないようにしましょう。点火装置の寿命を延ばせます。 - 凍結対策の徹底
冬場は電源を切らず、凍結予防運転を有効にしておきましょう。特に外気温が氷点下になる地域では、水抜き栓を使った水抜き作業も検討してください。 - 定期プロ点検の実施
1~3年に1回、専門業者による点検を受けることで、目に見えない劣化や問題を早期発見できます。費用は5,000円〜15,000円程度ですが、大きなトラブル予防になります。 - 外装・フィルター清掃
月に1回程度、外装は水拭き後に乾拭きし、汚れがひどい場合は中性洗剤を使用しましょう。ストレーナーやフィルターは半年に1回程度、定期的に清掃することで水流低下を防ぎます。 - 適切な温度設定
必要以上に高温にせず、40〜42度程度の適温設定にすることで、給湯器への負担を減らし、省エネにもつながります。
「修理」か「交換」か、7年目の分岐点での賢い判断チェックリスト
給湯器のトラブル時、修理と交換のどちらを選ぶべきか判断するための具体的ポイントをご紹介します。
修理を検討すべきケース
- 設置から7年未満 の比較的新しい給湯器
- 部分的な故障 で、他の部分は正常に動作している
- 修理費用が交換費用の30%以下 で済む場合
- 特定部品のみの不具合 で、他に劣化の兆候がない
交換を検討すべきケース
- 設置から7年以上経過 している給湯器
- 修理費用が交換費用の50%以上 になる場合
- 過去2年以内に修理歴 がある給湯器
- 製造終了から8年以上経過 し、部品の入手が困難
- 省エネ性能の向上 で、新機種への交換でガス代・電気代が20%以上削減できる見込みがある
まとめ:給湯器再使用の3つの黄金ルールで安全・安心を確保
長期間使用していなかった給湯器は、再使用前に適切なチェックと準備が必要です。安全な再使用のための3つの黄金ルールを守りましょう。
- 安全第一の徹底点検
外観や各部の確認を行い、ガス漏れ・水漏れ・異常な音や臭いがないことを確認しましょう。少しでも異常を感じたら、自己判断せず専門家に依頼することが最も安全です。 - タイプ別の正しい再起動
給湯器のタイプに合わせた正しい手順で再起動し、異常がなければ少量から使用を開始しましょう。ガス給湯器、石油給湯器、電気温水器それぞれの特性を理解し、適切な対応を心がけることが重要です。 - 経年変化を考慮した賢い判断
特に設置から10年近く経過している場合は、修理よりも交換を視野に入れた判断が必要です。安全性、経済性、将来性を総合的に考慮し、長期的視点で判断しましょう。
日常的なメンテナンスを継続することで給湯器の寿命を延ばすことができますが、いずれは交換時期が訪れます。安全に暖かいお湯を使用し続けるためにも、給湯器の状態に常に気を配り、適切な判断と対応を心がけましょう。

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